しさくろく

試作録、思索録、詩作録、…etc

打鍵配列の振り返り

2023年に入ったので、改めて自分の使っている打鍵方式について改めて省みてみる。

自分は普段、いわゆるローマ字配列であるQwertyを仕事では利用していて、ブログを書くときはProgrammer's Dvorak + 新下駄配列を使っている。

打鍵速度がどの程度かについて、客観的な指標があったほうがよさそうなので、今日時点の速度を測定してみた。

( 日本語は https://typing.tanonews.com、英語は https://www.livechat.com/typing-speed-test/ により計測。 )

日本語

Qwerty 新下駄
平均打鍵数/秒 *1 7.5 6.4
正答率 *2 97% 97%
スコア SS+ S

英語

Qwerty Dvorak
打鍵速度 (WPM) *3 80 43
打鍵速度 (CPM) 346 188
正答率 96% 84%

こうして比較してみると、体感とだいぶ差があることに気づく。Dvorakはもう少し速く打てている気がしていたし、新下駄はもう少し遅いと感じていた。

この体感の差は、おそらく、新下駄は実際の打鍵数が少ないためで、Dvorakは最大速度の割にミスタイプが多く引っかかっているためだと推測する。

仕事で使わない理由

ちなみに自分がDvorakと新下駄配列を仕事で使用しない理由については、実は自分自身も分かっていない。

MacでもWindowsでもキーエミュレータで切り替えられるようにしているので、どちらを使っても問題はないのだけれど、自然と仕事ではQwertyだけを使っている。

推測だけれど、仕事では正確性が求められ、短い文章を高速で打つことが多いために、自然とQwertyを選択するのだと思われる。また、Vimとの相性 *4 もある。

ショートカットキーについては、CmdQwerty (CtrlQwerty) を使っているため、CtrlやCommandを使っている間は差はないが、3Dソフトなどでは全く違うキーになってしまうため、3Dソフト等ではQwertyにする。これも要因の一つ。

打鍵感とその他配列について

打鍵感については、何度かこのブログでも書いてきているように、Programmer's Dvorak + 新下駄配列 が一番手に負担がかからず快適に打てていると感じている。自分のニーズは楽しく長時間快適に打てる、趣味時間を楽しむためのタイピングなので、ニーズとはとてもマッチしていると思う。

最近ポメラ親指シフトNICOLA)を打つこともたまにあるのだけれど、自分は親指でのシフトがあまり得意ではないようで、打鍵速度は極めて遅い。けれど打っていて楽しい。

月配列についても検討したことがあるものの、採用には至らず。(後述のEucalyn等と同様の理由。)

薙刀式は惜しかったのだけど、MacLinux、かえうち等での実用上の観点(3キー同時押し)と、親指シフトが苦手という点で数年前に断念。

JISかな配列については、その他の配列に比べると長く使っていたことがあるものの、ミスタイプが多かったのと、打ちづらいかなが多かった。今思えば、JISかな配列を改良して拗音シフトなどを設けるのも良いかもしれない。

Eucalynなどを試したこともあるものの、わざわざ数ヶ月かけて習得するメリットと天秤にかけて、採用に至らず。

デメリットは高い習得難易度

Dvorakと新下駄配列は、自分は他人に勧める気はあんまりないのだけれど、その理由は習得難易度の高さにある。

新下駄配列に至っては、自分はいまでも配列表を見ないと打てない文字(低出現頻度かな)がたまにあるし、同時シフトが足枷になって速度が上がらないのではないかという懸念もある。同時シフトの打鍵ミスは未だに頻繁にある。

Dvorakも、Qwertyと相当に違うので、覚えるまで苦労したし、前述の通りショートカットキー的なものは全然違うキーになるので、実用上の問題も大きい。Programmer's Dvorakに至っては未だに打てない記号があったりする。

習得に数ヶ月かけて、結局仕事では利用しないのであれば、あまり積極的に他人に勧める気にはならない。でも実際、このブログはDvorak + 新下駄で書いているし、おうち時間を楽しくという観点では、打鍵のストレスは自分はほとんどなく、かつそこそこの打鍵速度を保てるので、楽しいと感じている。

個人的には高い習得難易度を超えて数ヶ月〜数年かけて習得したメリットは十分にあると感じているのだけれど、自分自身、途中で何回も挫折しそうになったし、Qwertyがうまく打てなくなったりする時期があったりもしたので、誰にでもおすすめできるとは決していえない。

ポータビリティと保守コスト

ちなみに新下駄配列もDvorakに共通する利点として、月配列と同様に親指シフトに関する実用上の問題は少なく、Windows/Mac/Linuxでも、どういったキーボードであっても問題なく打てるので、ポータビリティは高い。自分はこの点を最重視している。

ただ、ユーザの絶対数が特に新下駄配列は少ないので、エミュレータが動かなくなったりした場合の保守コストは発生する。これはどの新配列にもいえることではあるのだけれど、親指シフト (NICOLA) 等はユーザが多いので対応が早かったりして、そうした対応を自分自身で行ってきたことも考えると、やはり手放しに誰かに勧める気にはなれない。

キー配列というのはインフラなので、使えなくなるとダメージが大きい。かえうちなどのガジェットを使って解決する方法もあるのだけれど、希少性が高く、失くしたりしたときのことを考えると怖いし、キーボードを別で準備しなければならないのはノートパソコンユーザにとって辛い。

それでも新配列を使う理由

そうしたデメリットを負ってもProgrammer's Dvorakや新下駄配列を使うのは、やっぱり楽しいから。

数年打っていて特に速度が速いわけでも、この配列のおかげで仕事が楽になったわけでもないのだけれど、それでも打っていて楽しいということに尽きると思う。

習得難易度についても、その時間自体が自分にとってはとても楽しいものであったし、Qwertyがうまく打てなくなったりした経験も、新しい発見があって楽しかった。

エミュレータ関係のコード保守についても、自分はどちらかというと本業はそちらなのでやっていて楽しいし、そうやって、デメリットを苦でないと思える人たちにとってはおすすめできるのかもしれない。

どのキー配列についても、一長一短あり、作者の手の形(大きさなど)の特徴を反映していたり、いろんな思想を反映した配列がある。だからこそ、自分が使っていて楽しいと思える配列を選ぶのが一番良いと思う。

*1:実際の打鍵数ではなく、サイト上で計測された打鍵数

*2:1.0 - ミス数 ÷ 打鍵数

*3:参考として、アメリカ人の平均タイピング速度は41 wpmで、仕事では60 wpm以上が望ましいとされているそう。出典: https://hizapon.com/typing-speed/

*4:VimDvorakでも打てるものの、集中すると自然とQwertyに切り替える