しさくろく

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Dvorak配列練習198日目: A達成、一旦ひと区切り。

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一ヶ月くらい前に実はC達成、そしてそれから2週間くらいでB達成していたのだけれど、あまり詳細は書いていなかったので、久しぶりにタイプウェル(英単語)をやってみてAが達成できたので一区切りとして、いろいろメモ。

記録によるとFを達成したのが40日ほど前で、Dvorak(Programmer's Dvorak)を本格的に再開したのが50日くらい前なので、一ヶ月半くらいしっかり使えばAくらいになるということが実感できてよかった。

紆余曲折と、効率化の良し悪し

前の記事でも書いたけど、日数カウントの198日との乖離が大分あることからもわかるように、自分のDvorak習得はだいぶ紆余曲折があって、最初の2週間と最近の1ヶ月半以外はほとんど使用していなくて、全く上達がなかった。理由はホント繰り返しになるのだけど、Qwertyが普通に使える状況において、かつ日本語配列は新下駄配列で高速に打てるなかで、英語配列だけをDvorakに置き換えるというのは相当に精神的にも鍛錬が必要だった。

ここ1ヶ月くらいは本当に(Programmer's)Dvorak習得にかなり情熱を傾けて、Typing Boltのような効率的習得ツールを使って効果的に練習してみたり、Vim AdventuresDvorakでやってみたり、SHAKYO.ioをProgrammer's Dvorakでやったりした。

実際真剣にやってみてわかったことは、Typing Boltのような苦手克服系のタイピングツールはたしかに効率よくてグングン速く打てるようになる実感があるけれど、すごく疲れる(笑)。というのも、やっぱり苦手な配置を特に重点的に練習させられることになるので、JやXなど、特に左側にあって出現頻度の低い子音の練習は辛いように感じた。"object" "adjust" とかをただひたすら打つといった感じはなかなか辛い。そのうち慣れてきて楽にはなってくるけど、こういうのは使いどころだなと思った。

そういう意味で、いつもとても楽しく打鍵できるのはe-typingマイタイピングの長文系。効率が良いのかどうかはさておき、名言や長文を打っていると気持ちが良いし、勉強になる。著作権的にどうなのかはよくわからないけど、スティーブ・ジョブズの名言だったり、ヨガの格言とか、ハリーポッターの一文とか、そういう実際役立ちそうなものをタイピングしているとやっぱりテンション上がる。

慣れてきたらツールは不要で、一人でひたすら模写すれば良いので、そういう意味では途中からリソースは無限大になるのだけど、ある段階まではツールなしは結構キツい。やっぱりミスが多い段階だとバックスペース打つの辛いので、親指シフトのようにバックスペースが打ちやすい配列以外は最初はちょっと辛い(配列カスタムすればBS効率化は対応できなくもないけど)。その点でタイピングツール(サイト・アプリ)というのは本当にありがたい。

Programmer's Dvorak特有の練習法と課題

SHAKYOやマイタイピングは、自分の好きな文章やコードを追加して練習することもできるので、とても助かる。特に通常のDvorakではなくProgrammer's Dvorakでは、記号の練習と数字の練習が一定量必要なので、やっぱり練習するコードの言語に左右されるところが大きい。例えばPHPだと$をすごく多用するし、bashなんかだとチルダ~)やバッククオート(`)が頻発したりする。

Programmer's Dvorakは、記号がシフトなしで打てるという点は嬉しいのだけど、数字も含めて考えると、体感的に左手の小指と薬指を非常に酷使する配列だと思う。なので、自分は親指シフト(変換・無変換キー)も通常のシフトキーとして動作するモードを使い分けていて、そのおかげでだいぶ左手が楽になった。スペース自体をシフトとして使ういわゆるSonSも有効と思うけど、自分は使ってない。ちなみに、特にMacではかなキーと英数キーを犠牲にしてしまうのはとても辛いので、プロファイルを切り替えて使っている。かなと英数を頻繁に切り替えるときは親指シフトなし、コードばっかり書くときは親指シフトありといった感じ。

記号や数字自体の配置についてはホント好みが大きい気がしていて、これについては慣れもあるけれど、親指シフトと同様に適当にカスタムしたり追加したりして工夫してる。これは使っているエミュレータに依るところも大きいので、好みの問題と思う。自分は~$は追加で割り当てている。

ただ、他の記事でもよく書かれているように、普通の英文を打つ分にはDvorakは最高なのだけれど、プログラミングのように普段使わない語彙が出てくると必ずしも効率的に打てないので、工夫して使う必要がある配列だと感じている。lsとかホント打ちづらいので、alias l=ls してみたりといった具合。

ちなみにVimとの相性は思った以上に良い。hjklはちゃんとその方向にキーがあるし、他に打鍵に困るようなキーストロークの組み合わせもほぼないので、ずっと使っていけば自然とDvorakでもVimが使えるのはホント幸いで、偶然というか奇跡だと思う。

ただ、自分は相変わらずケースバイケースでQwertyに切り替えたりするので、間違えたキーストロークで文字が消えてしまったりする事故は未だにある(笑)。もちろんすぐuCtrl-Zするのだけれど、案外困るのがパスワード入力で、よく使うパスワードはDvorakでも入力できるようになっておかないといざというとき大変。特にMacとKarabiner Elementsの組み合わせでは、スリープ後のパスワードはDvorakで打つ羽目になりやすいので、練習しておいたほうがいい(Touch IDこういうときありがたい)。

新下駄配列+DvorakPに移行した結果とコスパ

さて、とにかく紆余曲折あったけれど、念願かなってQwertyから新下駄配列+DvorakP (Programmer's Dvorak)に移行することが一応できた。本当に感無量。速度面ではまだまだ課題も多いけれど、一応の区切りかなと思う。

日数にしてほぼ丸一年かけて移行することになって、ここまでして移行するメリットが万人にあるかどうかと言われると、正直かなり人による。

自分自身は、配列を移行したおかげで書くことが楽しく、本当に楽になった。まず苦痛だったブログや文章を書くことが新下駄配列でとっても楽しくなり、そしてDvorakのおかげで英文やコードを書くことも楽しくなった。その結果こうして定期的にブログを書く時間を取るようになったことや、思考や行動の全てをNotionのようなデジタルメモに記録するようになったことはすごい成果だと思う。コロナで在宅ワークが増えたことをきっかけに移行を決意して、本当によかった。

でも実は、デジタルメモとかは結構スマホで記録をとっていて、フリック入力の方が気軽にサクサク打てたりもする。そう考えると、あえて1年近い期間をあえて台無しにしてまで移行するメリットって、なんだろうか。

よく、音声入力があれば十分とか言われるし、フリックが速いならパソコンでもフリックでもいいかもと思ったりすることもあるけど、自分は、書くマインドフルネスじゃないけれど、キーボードを使って実際の物理感覚を感じながら書くことがすごく好きで、タイピング自体が好きというのが大きい。今回の移行でそれをより実感したし、親指シフトが「指がしゃべる」と言われるように、多分頭の中でしゃべって思考を整理することが好きなのだと思う。

それでも、Qwerty配列だった間は正直パソコンに向き合うのがすごく辛かった。学生時代とかは何の苦痛にも思わなかったけど、年齢的なものなのか段々辛くなって、在宅ワーク中は結構しんどかった。もちろん全部が全部、Qwerty配列のせいではないし、移行開始時に掲げた「速さではなくて楽さを優先する」というポリシーのおかげも大きい。配列を変えるまでしなくとも、キーボードを良いものにするとかデュアルキーボードにするとか、椅子を変えるだとか、そういう部分の貢献も大きいと思う。けど、やっぱり新下駄配列とDvorakPにした意味は大きい気がする。

ちょっと哲学的かもだけど、配列を変えようと思えてそれを達成した時点で、それがたとえ何の配列であっても大きな意味はある。けど自分の場合、配列選択時に最も移行コストの大きい配列2種を選択したので、移行が相当に辛かった分、その分だけの見返りは十分すぎるほど得た、と思う。

自分の場合は最終目的が打鍵速度ではなくて打鍵自体の楽しさだったのだけれど、自分の性格的にやっぱり速度面の妥協はしたくないので、速度も打鍵の楽さも両方とりたいと思った結果、移行には相当なコストがかかった。それでも自分が重視するのは楽さや楽しさなので、速度面を妥協すればもっともっと習得コストが低い配列はたくさんあるし、必ずしも最適解がこれではないと思う。(DvorakPについては、記号・数字部分に不満がないわけではないので、たぶんしばらく工夫を重ねる気がする。)

ちなみに何配列でもいいという部分について、最近久しぶりにポメラDM100を使って親指シフトNICOLA配列)を一年ぶりくらいに打ってみたら、相当に楽しかった。自分は今に至る過程でいくつも配列をトライしたからなのか、親指シフトをもう一回打てるように頑張ってみること自体とても楽しかったし、もちろん全然速くは打てなかったのだけど、一字一字を改めてきちんと打つ楽しさ、親指シフト特有の楽しさをすごく感じた。久々に親指シフトをわざわざ打ったのは、ポメラではQwertyとJIS以外に親指シフトしか使えないからなのだけれど、QwertyとJIS以外の選択ができるというのはとても大きいと思う。

そういう意味で、何配列にもそれぞれの目的と習得コストがあって、各々に応じて得られるメリットがあるので、好きな配列を自由に選んで習得するのが良いのだと思う。その自由が担保されているというのがすごく大事なことな気がしていて、個人的にはポメラのようなワープロがもっと新JISとかいろんな配列が使えるようになったらな夢のようだと思う。エミュレータも、自分が愛用しているやまぶきRとかはストアアプリやPowershellでは使えなかったりするし、MacのKarabiner Elementsも記号の設定が大変だったりと、まだまだ苦労はある。

それでも、Win/Macで配列が自由に選べる現状って十分に素敵なので、あとは情報がもっともっと増えたらと思う。自分も習得フェーズは脱してきた感あるので、積極的に情報まとめたりしていきたい。