〈かな入力〉薙刀式から新下駄配列に移行することにした

f:id:funatsufumiya:20200817180049j:plain

また今日もかな入力の話題。最近かな入力のことしかブログ書いてない気がする…。

自分はここ1ヶ月主に薙刀式を練習していて、いろんな課題に直面して最終的に新下駄配列に移行することにした。以下はなぜ薙刀式をやめて新下駄配列に移行することに決めたのか、その試行錯誤と思考過程の記録。

ちなみに今は、新下駄配列を練習し始めて3日目。現段階で、一応ブラインドタッチはできているものの、かな入力版e-typingのWPM (注: 1分あたりの入力キー数。正確にはKPM) は40くらい。自分のローマ字入力が550くらいなので、一概には比較できないけど単純に2で割ったとしてもまだ相当に遅い。ちなみに1ヶ月くらい練習した薙刀式でも実は70くらいなので、3日目にして40は案外速い方なのかもしれない。(自分は親指シフトがだいぶ苦手で打鍵が遅いので、あまり参考にならなそう。)

なお、以下に移行の経緯と思考過程をまとめたら結構長くなったので、最初に全体の流れだけまず記載。

  • ふと、休日に楽しく日本語入力したくなった。
  • 薙刀式とNICOLAを1ヶ月ほど練習。
  • → 2週間くらいで、親指シフトの速度向上の難しさに直面。
  • → 同時期に、薙刀式の実装の課題に直面。
  • → 実装にあまり左右されない配列への移行を決意。
  • → 月配列と新下駄配列と迷って、新下駄配列を選択。
  • → 新下駄配列を練習中(イマココ)。

そもそも薙刀式を始めた経緯

f:id:funatsufumiya:20200817173829j:plain

元々、ローマ字入力で特に不自由を感じていなくて、仕事ではプログラムも文章も普通にQWERTYで書いている。プログラミングに関しては、Vimユーザであることもあり、Vimのキー配列はQWERTYに強く依存しているので、あまりQWERTYからProgrammer Dvorakなどに移行するつもりはなく、当分配列を変える予定はなかった。

だけれど、薙刀式の作者である大岡さんも仰っているように、入力方式には短距離走と長距離走があって、まさに自分はローマ字入力に関して短距離走だなと以前から感じていて、あまり休日にのんびり書くということは、さらさらする気になれなかった。

ただコロナ禍の影響もあって、最近になってふと休日にパソコンに向かって思索に耽ることが増えてきて、休日くらいは気分を一新してローマ字入力をやめたい(= 短距離走的に超高速で書くんじゃなくって、長距離走的に気ままに長時間書きたい)と思って、まずはJISのかな入力を始めた。

JISのかな入力は元々少し打てたのですぐ使えるようになったのだけど、外来語があまりに打ちづらくって、すぐに親指シフト系に移行することにした。親指シフトにはNICOLAをはじめとして多数の種類があるけれど、ポメラのDM100を持っていて、DM100が公式にNICOLAに対応していたこともあって、NICOLA薙刀式v12の両方を練習することにした。

ちなみに薙刀式を選んだ理由は、薙刀式v12の公開は2018年と、自分が知る限り最新の配列で、設計思想がもっとも理想的に思えたこと。あと実際に作者がYouTubeに動画を多数公開されていて、実用的な速度で使えるのが実際に動画で確認できたのが大きかった。一方でポメラでも親指シフトを使いたかったのもあって、NICOLAと並行して、1ヶ月ほど練習した。

速度面と実装面で大きな壁を感じる

f:id:funatsufumiya:20200817174904j:plain

結果的にNICOLA薙刀式も快適で、本来の目的だった「休日に楽しく思索を練る」ための日本語入力としては大成功だった。先程書いたように、WPM 50程度の非常に遅い速度ではありながらも、推測変換を使ったりしながらのんびりと考えを整理するためには十分な速度だと思っていた。

ただ、NICOLA薙刀式の練習を始めて、2週間ほど経った時点で、やっぱり欲が出てきた。もともと、休日に思索に耽るというのは、結果的にブログにまとめることを目的としていたので、ブログ執筆も当然ながらかな入力で行いたくなってきた。

ちなみに今書いているこの記事は、ローマ字入力でもかな入力でもなく、実はスマホのフリックで書いて、最終的にパソコンでまとめている。最終的にまとめる作業は今のところまだローマ字入力を使っている。先程も書いたとおり、自分はローマ字入力e-typingでWPM 550くらいと、現状のかな入力と10倍近い速度の開きがあるため、かな入力の現状の速度の遅さが際立ってきて、ストレスを感じるようになった。

そこで、それまでは気ままに日記を書く程度だったのを、タイピングゲームを活用して、本格的に速度を上げていくことにしたのだが、ここに大きな壁があった。自分にとって最大の壁の1つが、まず親指シフトであったことだ。

親指シフトは、原理的に速度を上げていくのにはそれ相応の訓練が必要となる。親指の反応自体が遅いのだという意見もネット上にはあったけれど、自分はフリック入力が結構速いのもあってその意見には否定的で、たぶん親指シフトの場合は他の指との連携や両手の連動、シフトなしとありの切り替えなど、別の理由があるのだと思う。

薙刀式はNICOLAなどと異なり、スペースのみを親指シフトとして使うので、それほどキーボードを選ばないのは幸いだったが、それでもやはり自分は親指シフトの操作が速度向上のネックになってきて、練習3週間目から1ヶ月目くらいでかなり伸び悩んだ。中指シフト同時押しはさほど苦労せずスムーズに入力できていたので、親指シフト部分にかなり苦戦する羽目になった。

原因はおそらく、それまで親指シフトの経験が全くなかったからで、さらに練習を重ねれば速度は向上するはずだとは思う。実際、薙刀式の作者の大岡さんはYouTubeにたくさん動画をアップされていて、その動画の中で十分すぎる速度で執筆されている。

ただ、もう一つの悩みとして、薙刀式の実装上の課題に全く同じ時期に突き当たった。

薙刀式の実装上の悩み

f:id:funatsufumiya:20200817173335p:plain

前述の通り、自分は薙刀式を

  • 休日に楽しく思索に耽られる日本語入力
  • 訓練を重ねれば高速でも入力できる配列

として選定したのだったけれど、薙刀式の特徴として、

  • 3キー同時打鍵の存在
  • 親指シフトかつ中指シフトである

という比較的高度な仕様を持つために、実用上はいろんな悩みを持つことになった。

これらの条件を満たしつつ十分快適に入力をするためには、入力エミュレータに対してかなりシビアな条件を求めることになる。

自分はWindowsだけでなくて、MaciPadなどをそのときの気分によって使い分けているので、エミュレータの種類はその時々で異なってくる。

特に薙刀式には、拗音拡張のために3キー同時打鍵が存在するので、かえうち2などにおいては相当複雑なレイヤー設計が必要となる。しかも薙刀式はさらに親指シフトかつ中指シフトでもあるので、シフトキーの数と組み合わせがとても多く、同時打鍵判定を快適にしたいと思ってもレイヤー数が足りず、必然的にどこかを犠牲にすることになる。

ちなみにかえうち2を使っていたのはiPad上だけで、WindowsではやまぶきRを使って比較的快適に入力できていたのだけれど、やまぶきRには3キー同時打鍵に大きな制約があり、どうしても配列を改変して妥協せざるを得なかった。作者が推奨しているDvorakJでは、当然ながらこれらの仕様は満たしているものの、個人的にDvorakJの親指シフトの同時打鍵判定アルゴリズムが自分の感覚と合わなかったので、自分はやまぶきRをメインで使っていくことに決めて、結局はWindowsでも何かしら妥協しながら使うことになった。

さらにいえば、Macの入力エミュレータであるKarabiner-Elementsでもまた事情が異なっていて、こちらでは3キー同時打鍵の実現こそできていたものの、同時打鍵判定にはかなり癖があって、特に拗音拡張は非常に入力しづらく、ミスタイプが頻発した。

――したがって、薙刀式は自分の中でもっとも理想的な配列だったのだけれど、一番新しい配列というだけあって、実装に高度な仕様が要求されるため、実用上はあまり快適に入力することができなかった。元々自分は休日に楽しく日本語入力ができるというのを一番の目的に掲げていたので、Win/Mac/iPadで同様に楽しく使えるというのが実現できないのが、どうしてもネックになった。

でも、速度面やミスタイプをそんなにシビアに考えなければ、気軽に楽しくは入力できていたので、そのまま練習を続けるか非常に悩んだ。(というか今も若干悩んでいる。)

ひょっとすると、今後ユーザが増えればさらに良いエミュレータ実装が出てくるかもしれないし、QMKをベースにしたプログラマブルキーボードに乗り換えればこの辺の悩みは一切消えてなくなるのかもしれない。ただ、自分はMacBook単体でブログを書く機会も多いし、さらなる打鍵速度・打鍵感の向上のためには、これ以上実装面やハード面にコストをかけたくないし、それらに足を引っ張られたくないという思いが強くなり、思い切って他の配列に乗り換えることにした

(なので、あくまで現時点では実装上の悩みや、ポータビリティにかかるコストが大きいがための乗り換えであって、今後の動向によってはまた薙刀式を使い始めるかもしれない。実際この1ヶ月は薙刀式用の設定ファイルとかいろいろ書いてきたので、ちょっと惜しい気もある。)  

月配列と新下駄配列で一瞬迷う

f:id:funatsufumiya:20200817173004j:plain

さて、以上のような悩みを経て、

  • 休日に楽しく日本語入力できる配列 (= 長時間打鍵が楽、発話と一致 etc )
  • 実装にあまり左右されない、適度に高速打鍵できる配列

に乗り換えることにして、新下駄配列に移行することに決めた。

実は新下駄配列に決める前に、ちょっとだけ月配列と悩んだ。月配列も高速打鍵できる配列候補の一つで、最大の特徴としてローマ字入力テーブルを変更するだけで対応できるというのがある。つまり実装上の悩みが一番少ない。あと2ch上の議論で生まれたというのもあって、若い高速タイピストが多いのも魅力だった。特に、月配列U9月配列E-Xはとても良さそうで、個人的にU9は結構気に入っていた。

ただ、月配列はその"中指前置シフト"という特徴から、どちらかというとローマ字入力に似た特徴を持っていた。実際に一度試用しているなかで、日本語の発音と打鍵が一致するという配列ではないことがわかり、速度面では相当有力だったものの、今回の自分の思う "楽しさ" とはちょっと異なっていたので、見送ることにした。

新下駄配列して良かったこと、難しい点

f:id:funatsufumiya:20200817175118j:plain

ということで、いろいろ考慮した結果、

  • 発音と打鍵が一致する
  • 実装が複雑でない (= 実装にあまり左右されない)
  • 高速打鍵できるポテンシャルがある

という3点を加味し、新下駄配列が自分に最適だという結論になった。

実際、新下駄配列は非常に合理的にできていて、かつネット上の情報も豊富でユーザが多いのがいろんな面でとても助かる。あと個人的には、薙刀式で好きだった拗音拡張が同じように使えて、しかも3キー同時打鍵じゃなくて2キー同時打鍵で打てるのが嬉しい。(キー配列の歴史的には、自分の思考過程はなんだか逆行している感あるけど、設計思想の違いだから時系列は関係ない気もする。)

ただ他の多くのブログに書かれているように、配列の暗記と習得は相当大変で、自分で五十音別カラー配列表を作ったり、寿司打やマイタイピングでも練習できるようにして、飽きない工夫をしながら楽しく暗記している。

結果として、お盆の連休を使って丸2日ほどで一応ブラインドタッチができるようになって、あとは速度が上がるようにひたすら練習だ、という感じにはなった。

ちなみに比較的短期間で暗記できた理由を振り返ると、3時間新下駄配列速習教材・改もとてもよかったし、マイタイピングで好きな文章を使って楽しく練習できたのがよかった。あと寿司打でときどきゲーム的に練習できたのも良かったと思う。こう考えるとローマ字入力の練習教材は本当にたくさんあって、早い段階でかな入力の練習教材ではなくてローマ字入力のタイピングゲームの方に切り替えたのが、一番楽しく効果的に学習できた理由かもしれない。

なにより自分には、新下駄配列を覚えるんだ!という確固とした理由があった上で、他の配列と十分比較検討して移行したというのが一番大きい気がする。薙刀式やNICOLA、JISかな入力などを暗記する過程を経ているので、キー配列の覚え方のコツみたいなのが自然と身に付いたのかもしれない。(かなの出現頻度や配置場所の哲学等々…。)

一方で、まだ速度的には全然実用的でなく、このブログも結局スマホのフリックで書いている始末なので、次回ブログ書くときは新下駄配列で書きたいなとホント思う。ただ清濁別置というのは思いのほか覚えるのが大変で、マイナー濁音を忘れてしまうという問題は今後もありそう。継続して練習しないといけないなと思う。

あと新下駄配列でもう一点難しいなと思うのは、複雑な同時打鍵と両手アルペジオが存在すること。両手同時のアルペジオは新下駄配列の一番美しい点でもあるので、まさに諸刃の剣。この点は、既にローマ字入力で十分な速度で入力できるような人であれば特に問題にならないと思うし、他の配列と同様に、実用していく過程を経て自然に上達するだろうなってことは、他のブログ記事とかを見ても明らかなので、個人的にはあまり心配していない。

そういえば新下駄配列ってあまり打鍵中の動画がアップされていないので、薙刀式の作者のように、YouTubeとかにもっと新下駄配列で実際に打鍵している動画がたくさん出てくれたらいいなと思ったりする。自分が以前に薙刀式を選んだ一番の理由がそこだったし、百聞は一見にしかずというのは確実にあると思うので、もし自分が新下駄配列で実用的な速度で入力できるようになったら、たくさん動画を撮って上げていきたいな。(いつになるのやら……。)